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二世帯住宅には主に完全同居型・完全分離型・部分共有型の3種類にタイプが分かれています。
まずは、それぞれのタイプの特徴について紹介しましょう。

完全同居型は、親世帯と子世帯の寝室以外を共有して利用するタイプです。
例えば玄関や浴室、キッチン、リビングなどはすべて1つしか設けておらず、親世帯と子世帯が共有することになります。
完全同居型のメリットは親世帯と子世帯が顔を合わせる機会も多く、コミュニケーションが取りやすい点が挙げられます。
万が一体調が悪かったとしても、完全同居型ならすぐに家族の異変にも気付けます。
また、間取りは一般的な住宅とそれほど変わらないため、建設にかかるコストや住み始めてからの光熱費を抑えやすいというメリットもあります。
ただし、各世帯のプライバシーは寝室程度しか確保できません。
また、世帯で生活時間が異なる場合、二世帯とも安心して生活ができるようあらかじめルールづくりが必要となってきます。

完全分離型は、玄関から各世帯の生活空間を分けるタイプです。
親世帯と子世帯で共有するスペースはなく、行き来できない状況になっているため、別居や近居とほぼ変わらない状態になります。
完全分離型のメリットは、親世帯と子世帯それぞれが適度な距離感を保ちつつ、世帯間や生活リズムの違いによるトラブルを避けやすい点です。
プライバシーを確保したい場合にはオススメの間取りタイプと言えます。
また、親世帯が亡くなった後も子世帯の暮らしを維持しながら、親世帯の部屋を賃貸物件に転用することも可能です。
デメリットは、1つの家に2つの生活空間を作る必要があるため、建てる時のコストや住み始めてからの光熱費が高くなってしまう点が挙げられます。
また、各世帯の交流が減るため、体調の異変などにも気付きにくいでしょう。

部分共有型は、住宅の一部を親世帯と子世帯で共有し、それ以外のスペースは各世帯で分離するタイプです。
プライバシーを確保しつつ、共有スペースがあることでコミュニケーションも取りやすいため、完全同居型と完全分離型の良いところを取った間取りとなります。
また、親世帯と子世帯が生活するための空間を確保する必要はあるものの、一部スペースは共有となるため、完全分離型よりも建設コストを抑えやすいです。
部分共有型のデメリットは、共有スペースで顔を合わせる際に、お互いが気遣いをすることになるため、精神的な負担になってしまうこともあります。
また、各世帯の生活時間が大きく異なっている場合に、共有スペースの使い方でストレスを感じてしまうこともあるでしょう。

生活費を抑えようと二世帯住宅を選択する人もいますが、二世帯住宅にしたことによる問題や失敗も少なくありません。
ここでは、どのような失敗例が発生しているのか紹介しましょう。

二世帯住宅でよく見られる失敗例として、プライバシーの問題が挙げられます。
プライバシーの問題というと完全同居型で起きやすい失敗例のように思えますが、実は部分共有型でもよく見られる失敗例です。
例えば玄関を共有スペースにした場合、どちらかの世帯が出かけようとした際に、つい確認したくなる人もおり、呼び止められる機会も増えてしまい、ストレスにつながってしまう可能性もあります。
また、玄関やリビングを共有スペースにした場合、お客さんを呼ぶ際にもお互いが気を遣うことになるでしょう。
さらに、部分共有型で生活空間の線引きを曖昧なままにしてしまうと、寝室に突然入ってきてしまうなどの問題も発生します。
プライバシーの問題を解消するためには、間取りなどを決める前にどの部分を共有すべきか親世帯と子世帯で話し合うことが大切です。

完全同居型や部分共有型でありがちなのが、テレビの独占です。
見たいテレビ番組があってもどちらかの世帯が独占しており、いつも見られない状態が続くこともあります。
また、キッチンを共有にしている場合、冷蔵庫も共有にしていると片方の世帯の食材ばかり入ってしまい、もう片方の世帯の分までは入りきれないケースも出てきます。
また、家電の利用以外に、収納も同様の問題が発生しやすいです。
例えば玄関に置かれている下駄箱を共有していると、どちらかの世帯の靴でいっぱいになってしまう可能性もあります。
一緒に使っていて特にストレスを感じないのであれば問題ありませんが、ちょっとしたことでストレスが溜まってしまう場合は家電や収納を分けて使用するのがオススメです。
収納で言えば両世帯の生活動線に合わせてスペースを確保し、間違えて各世帯の物を勝手に片付けないようにルールを決めておくと良いでしょう。

二世帯住宅で発生しやすい問題として、生活費の問題も挙げられます。
電気代やガス代、水道代、住宅ローンなどは二世帯住宅にすることで支払額を抑えられ、節約につながります。
しかし、子世帯は日中働きに出ているので家を空けていても、親世帯は1日中家にいることも多く、それでも生活費を折半することに対して疑問を抱く子世帯の人も多いです。
逆に親世帯も、子世帯の方が人数は多いのに生活費を折半にするのはおかしいと感じている人もいます。
こうした生活費における不公平感を少なくするには、各世帯が使った分だけ支払うようにする必要があります。
建物の構造的に分けるのが難しいこともありますが、例えばリフォームの段階で各種メーターをそれぞれの世帯用に設置すれば、請求は各世帯に届けられるので不公平感も軽減されます。
これだと生活費の節約になるというメリットはなくなってしまうものの、トラブルを回避したい場合は各世帯でのメーター取り付けを検討してみてください。

ここまで二世帯住宅の失敗例を紹介しましたが、リフォームで成功させるためにはどのようなポイントを押さえておくと良いのでしょうか？
続いては、二世帯住宅のリフォームを成功させるポイントについて紹介します。

二世帯住宅の間取りを考える際に、まずは軸を決めておく必要があります。
軸が決まったら優先順位を決め、予算なども考慮しながら最適な間取り設計を見つけていきます。

・食事を一緒にするか

一緒に食事を取るか、それとも別々で食事を準備するかを決めます。
子世帯が夫婦共働きで帰りが遅くなってしまう場合は、それぞれの世帯で食事を済ませた方がストレスもかかりにくいかもしれません。
また、食事を一緒にするか決める時はリビングとダイニングを一緒にするかどうかも決めておきましょう。

・キッチンを共有にするか
食事を一緒にするかどうかが決まったら、キッチンの共有についても考えていきます。
一緒に食事を取る場合はキッチンを共有にした方が作業もしやすくなりますが、別々で食事をするならキッチンも共有にしない方が使い勝手は良くなります。
また、各世帯でそれぞれキッチンを作らなくてもいいものの、お茶を用意するためのミニキッチンは用意したいというケースもあるでしょう。
キッチンを共有にする場合は、キッチンから食卓に行き来する際の動線についても考えておく必要があります。
特に共有のキッチンでダイニングを別にする場合は、どちらの世帯においても使いやすい動線となるよう考慮しなくてはなりません。

・浴室やトイレを共有にするか

浴室やトイレを共有にすることで水道代や光熱費の節約につながります。
ただし、使用する人数が多いとお風呂に入るまでの時間が長くなってしまったり、朝トイレが混雑したりするなどのデメリットもあります。
浴室やトイレは別々に各世帯で設けることも可能ですが、例えば洗面所と洗濯機だけを分けたり、シャワー室だけ別で設置したりするなどの工夫を取り入れることも可能です。

・玄関を共有にするか

キッチンや浴室、トイレなど水回りを各世帯で独立させる場合は、玄関を共有させるかどうかも話し合っておきましょう。
玄関を共有させるか、させないかによって間取りが大きく変わってきます。
例えば玄関を分ける際に、1階と2階に分けて作り外階段を設ける方法もあります。
また、玄関を共有にしておき別で勝手口を作るという方法もあるでしょう。

・廊下を共有にするか
玄関を各世帯で用意する場合、廊下を使って行き来できるようにするかも考えておきます。
廊下を共有にしていれば玄関は別々だったとしても、家の中からお互いのスペースへ行き来できるため、家事などを手伝う際にも便利です。

二世帯住宅のリフォームで失敗しないためには、事前にリフォーム費用や生活費の分担など、お金の問題が発生しないよう十分に話し合っておくことが大切です。
生活費の分担については上記でも紹介したように、各世帯にメーターを設置することでその世帯で使った分だけ支払うことになります。
生活費については毎月発生するものだけでなく、維持費の分担方法や将来的に修繕が必要となった場合の積立についても話し合っておく必要があるでしょう。
また、リフォームにかかった費用を子世帯がすべて出す場合、親世帯の分は贈与税が発生する恐れもあります。
贈与税を発生させないためにも、事前に専門家へ相談しながら建物の名義や税金について調べておくことも大切です。

二世帯住宅のリフォームを行うのであれば、同時にバリアフリーリフォームも行っておきましょう。
現時点で介護が必要なかったとしても、バリアフリーリフォームをすることで小さい子どもから高齢者まで全員が暮らしやすい家を目指せます。
バリアフリーリフォームにも様々な種類がありますが、例えば廊下や階段に手すりを設けたり、通路を車いすが通れるほどの幅にしておいたり、扉の段差をなくすためにすべて引き戸にしたりするなどがあります。
また、家の断熱性を向上させることで冬場のヒートショックのリスクを軽減させることも可能です。
二世帯住宅のリフォームを行う際には、バリアフリーリフォームについても検討しておきましょう。

二世帯住宅にリフォームする場合、どれくらいの費用がかかるのか気になる方も多いでしょう。
今ある家を二世帯住宅にするために増設したい場合、リフォーム相場は約1,000万円～1,500万円です。
特に完全分離型は必要となる設備や部屋数が多くなるため、1,500万円以上かかることも考えられるでしょう。
逆に完全同居型であれば1,000万円前後で行えます。
すでに十分なスペースは確保されているものの、水回りを増やしたい場合などは数百万円で済む場合もあります。
既存の家を丸ごと建て替えようとすると2,000万円～3,000万円近くかかってしまうため、もし実家などがある場合はリフォームも検討してみましょう。
なお、築年数によっては耐震工事や断熱工事、配管工事など構造部分からのリフォームも必要です。
家が古いとリフォーム費用が高額になりがちだということも念頭に置いておきましょう。

今回は、二世帯住宅で実際に起きやすい失敗例や成功するためのポイント、二世帯住宅のリフォーム相場などを紹介してきました。
二世帯住宅ではプライバシーや生活費、使用する家電や収納などの問題が発生しやすく、中には「失敗した」と感じてしまう方も多いです。
二世帯住宅のリフォームで失敗しないためにも、まずはどこを共有するか軸を決め、そこから親世帯と子世帯がそれぞれ生活しやすい空間にするための間取りを考えていく必要があります。
また、間取りのタイプによっては予算がかかってしまうこともあるため、何を優先すべきか順位もあらかじめ決めておくようにしましょう。

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