階段でもリフォームはできる!?階段の形状やリフォームの方法、相場費用について解説
谷口 大成
2階以上の建物において階段は必要不可欠ですが、昇り降りが負担だと感じたり、勾配が急で危険だと感じたりなどのお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、階段のお悩みを解決するためのリフォーム方法や工事費用について解説しているので、ぜひ参考までにご覧ください!
1.階段のリフォームとは?
そもそも階段のリフォームとは、どのようなことを意味するのでしょうか?
階段のリフォームは、古くなった階段を新しくしたり、勾配を変えたり、滑り止めを取り付けたりなどの内容が該当します。
床板の劣化、機能性向上などを考えてリフォームを決める方も多くいるでしょう。
他にも、階段の位置を変えるリフォームを行うこともでき、現状不便だと感じている部分を解消するためにも役立ちます。
例えば、階段の勾配が厳しくてバランスを崩して転倒したり、昇り降りが辛くなったりなどの悩みがある場合には、リフォームを行うことで転倒リスクを避けることができます。
高齢者や小さな子どもが階段で事故に遭った場合、打撲や骨折をする可能性もあるので大変危険です。
特に高齢者は骨折をきっかけに寝たきりになってしまうリスクも高いので、可能であれば階段を使いやすいものにリフォームすることは重要でしょう。
また、お家の内装やインテリアに合わせた階段にリフォームすることで、よりデザイン性も高まります。
2.階段にはどんなリフォームができる?費用も紹介!
階段をリフォームしたいと考えた場合、どのようなリフォームができるのでしょうか?
この章では、具体的な工事の内容やそれぞれに関わる費用を紹介します。
≪規定の階段のサイズについて≫
会談のサイズについては、建築基準法で安全に階段を上り下りできるように、階段のパーツごとに規定規格が定められています。
階段の足を踏む板の横幅は、階段寸法基準では75cm以上とされています。
階段1段分の高さは23cm以下、足を乗せて歩いていく場合は75cmになっているので、リフォーム時にはこれらの建築基準法に基づいて使いやすい階段に仕上げましょう。
また、階段が1m以上の場合は手すりの設置義務もあります。
≪階段のリフォーム内容や費用について≫
ここでは、安全性の高い階段のリフォーム内容や費用について紹介します。
・手すりの設置リフォーム
2000年6月1日に建築基準法が改定され、この期間よりも後に建てた家には階段に手擦り取り付け義務が発生するようになりました。
取り付ける際には1m辺り、2,000円~5,000円までの費用がかかり、合計10万円以内で取り付けられます。
階段は、建築区基準法で決まった「横幅75cm以上」「蹴り上げ23cm以下」「踏み面15cm以上」を中心として設計されます。
この勾配データを元に、階段の安全について考えるようにしましょう。
実際に、この条件を無視して階段を作った事例では、勾配が非常にきつく昇り降りが大変だったという結果になりました。
階段の勾配をより広く持ちたいなら、一段当たりの蹴り上げを20cmくらいに変更しましょう。
具体的な数値に関しては、住宅品確法に基づいた「高齢者等配慮対策等級」などでも確認してみましょう。
・カーペットの貼り替え
階段に滑り止めのカーペットが設置されていても、経年劣化によって粘着力が弱くなったり、一部がめくれてしまったりすると。かえって転倒のリスクを高めてしまいます。
その状態で放置すると、大変危険なので階段のカーペットを張り替えることで、元の機能を取り戻してあげましょう。
また、カーペットにシミや汚れがある場合も、リフォームで見違えるほど新しくすることができ、その際に防ダニや抗菌カーペットを採用することで、お手入れも簡単になるでしょう。
カーペットの貼り替えリフォームは、約4万円~8万円程度です。
・床板の変更
階段の床板を変えるリフォームも可能です。
階段は同じ位置を人が通ることが多いため中心のみが黒くなってしまうなど、劣化具合にムラができがちです。
階段の仕様によって床板のみ交換できる場合もあれば、新しい床材を上から貼ることも可能です。
新たに滑りにくい素材を使ったり、滑り止めシートを貼ったりすれば、より使いやすい階段にすることができるでしょう。
床材の変更などのリフォームでは、おおよその費用が約15万円~30万円です。
・階段の段数を増やすリフォーム
階段の勾配が急で危ない場合は、階段の段数を増やすリフォームをすることで、昇り降りの負担を軽減することができます。
ただし、階段周辺にスペースがない場合はこのようなリフォーム工事が難しいので、事前に調査を行い、リフォームが可能かどうかを確認しましょう。
既にあるステップ部分に板を取り付けるカバー工法であれば、架け替えと比較して相場が20万円~50万円と費用も抑えられます。
・階段の架け替えリフォーム
現在使用している階段の位置はそのまま使い、新しい階段に変えるのが架け替えリフォームです。
階段を架け替えることで勾配だけでなく、デザインそのものも一新することができます。
ただし、古い階段を一度取り外して撤去しなければならないので、他の方法に比べて費用が掛かる傾向にあり、おおよそ60万円~100万円で架け替え工事を行えます。
・階段の位置を変更するリフォーム
今までの階段の位置から他の向きに変えることで、生活動線が便利になったり、勾配が緩やかになったりします。
新たな機能性を持たせたことで、階段をより利便性の高いものにできるだけでなく、階段が新設されると、部屋のイメージをガラッと変えることができます。
階段の位置を変更する場合、リフォーム費用相場は約150万円~300万円となっています。
・階段の下に収納を設けるリフォーム
階段の下に新たに収納を設けるためのリフォームです。
階段下はどうしてもデッドスペースになりやすいのですが、新たに収納スペースを設けることで、掃除道具や家電、洗剤などを置くことができるようになります。
扉を取り付けることで収納の中が見えることがなく、スライド式の棚などにすれば、そのままスライドして使えるテーブルにもなるなど様々なアイデアがあります。
収納部分にコンセントを作ることで、コードレス掃除機などを充電したまま収納できようにするなど、デッドスペースを有効活用しましょう。
3.階段の種類も知っておこう
実は、階段にはいくつかの種類があり、リフォームによって他の種類に変えることもできます。
≪階段の種類について≫
・直階段
直階段は、もっともシンプルで一般的なの階段のことを言います。
上下の階を直線につなぐ形なので、コンパクトにしたい場合に用いられ、昇り降りの距離を最短にしたい場合や、狭い場所に階段を作りたい場合に適しています。
ここで注意すべきポイントが、万が一足を踏み外した場合のリスクです。
直階段には踊り場などを設けていないため、下まで一気に転げ落ちてしまう危険があり、高齢者や小さいお子様と暮らしているご家庭では注意が必要です。
住宅の場合、4mごとに踊り場を設ける必要がありますが、階段での危険性を回避したい場合は4m以下でも踊り場を設けるようにしましょう。
・折り返し階段
下から階段を見た時に、Uの字のように折れているのが折り返し階段の特徴です。
折り返しの部分はフラットな踊り場、もしくは幅が広いステップになっています。
踊り場の面積がある程度必要なので、設置する際には後述するかね折れ階段以上のスペースが求められます。
しかし、直階段に比べてステップ数の多さで傾斜が緩やかになるので、高齢者や小さなお子様にとっては使いやすいで
また、折り返し階段の場合、上の階に大きな家具などを搬入する際にしにくいのが難点すので、窓を使用するなどの工夫が必要になるでしょう。
・かね折れ階段
かね折れ階段は、階段の途中でL字に曲がっているのが特徴です。
曲がっている部分が踊り場のように少し広くなっているので、空間にもゆとりを感じやすいでしょう。
また、万が一、転落してしまった場合でも直階段のように一気に下まで転がる危険性は少ないです。
しかし、設置の際にはある程度の面積が必要になるので設置可能かを事前にしっかりと調査しておくことが大切です。
・らせん階段
らせん階段は、1本の軸を中心として円形に階段が設置されているのが特徴です。
ビルの外側に非常階段として設けられているイメージが強いですが、デザイン性の高さから自宅内に設置する方もいらっしゃいます。
軸を中心として階段があるので、多くの場所を取ることがありません。
また、空間にも圧迫感がなく、階段のスペースを十分に設けられない狭小住宅などにも向いています。
しかし、中心部分に近い部分は面積が狭く、踏み板が三角形のように狭い部分が出ます。
複雑な形状になってしまうため、上り下りがしにくかったり、家具などの搬入が出来なかったりするのでデメリットに感じるケースもあります。
・カーブ階段 カーブ階段は、輸入住宅やヨーロッパ風の住宅などに取り入れられることが多いです。
吹き抜けやエントランス部分などに設置すると、上部に大きなゆとりある空間が生まれます。
らせん階段に比べて緩やかなカーブを描くため、上り下りがしやすくなり、大きな家具や荷物の搬入もしやすいです。
踏み板の面積も広くなりますが、十分なスペースがない住宅の場合には、設置には不向きといえるでしょう。
4.使いやすい階段にするために意識することは?
この章では、今よりも使いやすい階段にリフォームする際には、何を意識することが重要かを解説させていただきます。
・勾配を緩やかにする
建築基準では、階段にも一定の基準が設けられていますが、この内容で階段を作った場合、勾配が厳しくなってしまうでしょう。
住宅品確法に基づいた「高齢者等配慮対策等級」なら、高齢者に配慮した階段にできるため、誰もが使いやすい階段になりますので、ぜひ参考にしてください。
・踊り場を設ける
階段の途中に少し広めのフラットなスペースである踊り場を設けることで、階段を上る途中に休息をとることができます。
また、万が一転落してしまった時にも、落下の勢いを和らげることも可能でしょう。
・足元を明るくする
階段部分の周辺に窓がなかったり、吹き抜けになっていたりする場合は、ライトがあっても足元に十分な明るさがないこともあります。
そこで、センサー付きのライトや間接照明などを使うことで、足元に十分な明るさを確保できるだけでなく、消し忘れ防止も可能です。
・床を工夫する
階段の床部分は、フローリングが使われていることが多いのですが、この場合靴下やスリッパで歩いていると、足を滑らせてしまう可能性が考えられます。
階段での事故を防ぐ為にも、床材をできるだけ滑りにくい素材にすることで、リスクを軽減することができるでしょう。
現在は、表面に特殊な加工をしたフローリングもあるので、このような素材を使うようにするとより安全性を高めることができます。
5.階段のリフォームは補助金の対象?
会談リフォームを行う際には、目的などによって補助金が受けられる場合があります。
例えば、バリアフリーリフォームの場合、高齢者や介護が必要な家族のための生活のしやすさを目的としたリフォームです。
家族が段差でつまずいたり、階段の上り下りを困難に感じていたり、転倒してしまうリスクが高く、それを解消するためのリフォームであれば補助金対象として認められるでしょう。
具体的なリフォーム例としては、階段の勾配を緩くする、転倒防止加工がされた床材にリフォームする、手すりを設置するなどが挙げられます。
工事内容やどの補助金を使うかによって要件などが異なりますので、ご自身が検討している工事が補助金の対象になるのか業者に確認すると良いでしょう。
6.まとめ
今回は、階段のリフォームの方法や工事かかる費用相場について紹介しました。
階段のリフォームは新しい素材にするだけでなく、機能性を加えることで誰もが使いやすいものに生まれ変わらせることができます。
特に高齢者がいる場合、階段のリフォームで受けられる補助金もあるので、この機会にリフォームをして快適な生活環境に整えてみてはいかがでしょうか。
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