畳からフローリングにリフォーム!メリット・デメリットや費用相場を解説
豊田 芹華
近年、和室を設けるお家は減少傾向にあり、畳よりもフローリングを使用することが主流になっています。
また、既存の住宅でも畳からフローリングに変更したいと考える方が多く、リフォームによって張り替える方もいます。
畳からフローリングにリフォームするときは、メリットとデメリットを把握しておく必要があります。
そこで今回は、畳からフローリングにリフォームする場合のメリット・デメリット、リフォームにかかる費用相場や注意点についても解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。
1.畳からフローリングにリフォームするメリット
畳からフローリングにリフォームすることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
主なメリットは以下のとおりです。
・掃除やメンテナンスがしやすくなる
畳は稲藁を圧縮して作った畳床に、い草を編み込んだ畳表を被せ、周囲の長辺には畳縁が縫い付けられています。
編み込んでいる状態のためにどうしても、隙間が出来てそこにほこりがたまってしまい、日々のお手入れが手間だと感じる方も多いです。
一方、フローリングであれば板の間に溝はあるものの、畳表に比べれば掃除がしやすくなっています。
・ダニが発生しにくい
畳は湿気やほこりがたまりやすく、こまめにお手入れを行わなければダニが発生するリスクがあります。
それに対して、フローリングであれば、畳に比べてダニが発生しにく、アレルギー体質の家族も安心して生活できるでしょう。
・長持ちしやすい
畳の耐用年数は、表と裏を合わせて約4~10年と言われています。
畳表が傷んでしまった場合は表替えによって裏にすることも可能ですが、畳1枚の表替えで1~2万円程度のコストがかかってしまいます。
また、畳の土台部分となる畳床は畳表よりも耐用年数が長く、10~20年は持つとされていますが、定期的に干すといったメンテナンスが必要です。
フローリングの耐用年数は10~15年で、畳に比べると長く、無垢材の場合は30年以上持つものもあります。
フローリングは表替えのようにひっくり返したり、定期的に干したりする作業もありませんので、長持ちさせるために特別なメンテナンスは不要です。
・部屋の印象を現代的に生まれ変わらせることができる
古い畳のまま使い続けていると、部屋自体も古い印象がついてしまい、現代的なおしゃれさのある空間を作ることは難しいです。
それに対して、フローリングにリフォームすると床材によっては明るい印象や色で、理想的な空間を実現することができます。
・介護がしやすい
畳は一見フラットに見えますが、実際には畳表の編み込みや畳縁によって細かく凹凸や段差があります。
そのため、畳の上で車いすや歩行器を使おうとするとうまく動かせず、場合によっては転倒につながる恐れもあるので注意が必要です。
また、介護ベッドを置きたい場合、畳だと重さに耐えきれず変形してしまう可能性もありますが、フローリングにリフォームすることで重い介護ベッドでも安定して設置することができます。
要介護者が生活しやすいだけでなく、介護者も介護しやすい環境を作るために畳からフローリングへのリフォームがオススメです。
・色やデザインの種類が豊富
近年は畳にも様々な色・デザインのものが増えてきましたが、フローリングのデザインの種類も豊富で、例えばダークトーンで落ち着いた雰囲気の空間にしたい場合は、ローズウッドやウォルナットなどがあります。
明るめのトーンを選びたい場合は、オークやパイン、メープルなどを選ぶと良いでしょう。
また、色味だけでなく貼り方によっても雰囲気が変わり、一般的なのは定尺張りと呼ばれるもので、同じ長さの板をずらしながら張り合わせていきます。
板を壁に対して斜めに張り付ける斜め張り、個性的なデザインが特徴で部屋のアクセントにもなるヘリンボーン、同じ長さの板を組み合わせて作った正方形を市松模様に張り付けていく市松張りなど、張り方の種類も豊富です。
・家具を配置しやすい
介護ベッドでも紹介したように、畳の場合は、重量がある家具を置くと変形してしまう可能性が高いため設置できるものが限られてしまいます。
そんな時に、フローリングにリフォームすれば凹みなども気にせず自由に家具を配置することが可能となり、さらに家具が配置しやすくなることで、模様替えも手軽に行う事が出来るようになります。
2.畳からフローリングにリフォームするデメリット
畳からフローリングにリフォームするメリットはたくさんありますが、その一方で畳の方が良かったというお声もあります。
ここでは、畳からフローリングにリフォームするデメリットを紹介します。
・足が冷えやすくなる、疲れやすい
畳に使われているい草は茎の断面を見るとスポンジのようになっており、空気が含んで熱や冷気を快適な温度にまで保ってくれるため年中快適な床で過ごせます。
一方、フローリングは冷えやすい素材なので夏には良いですが、冬になると足元から冷えてしまいやすいです。
また、畳のクッション性がフローリングにはないため、ずっと立っていると足が痛くなり、長時間座ったり寝転がったりすると体を痛めてしまう可能性があります。
・水に弱い
フローリングは水に弱く、水分が付着した際はすぐに拭き取って乾燥させる必要があります。
特に無垢材のフローリングは天然の木材を使用しており、水分が染み込んでしまうと黒ずみや汚れが生じたり、無垢材が膨張して寸法が若干変わってしまったりするケースもあります。
・防音性が低くなる
クッション性のある畳に比べて、フローリングは防音性能が落ちてしまい、椅子を引く、スリッパで歩くなどの日常の動作でも音が気になってしまうということもあります。
フローリングでも防音性を高めたい場合は、フローリングの下に遮音材を引き込んだり、マットを敷いたりする必要があります。
・ホコリや傷が目立ちやすくなる
畳に比べて、フローリングはホコリや傷が目立ちやすく、色の濃いフローリングはホコリが目立ち、明るいトーンのフローリングだと汚れや髪の毛が目立ちやすいです。
・無垢材だとメンテナンスが必要
フローリングは天然木を100%使用した無垢材と、合板などの基材に化粧板を張り合わせた複合材の2種類に大きく分けられます。
複合材を選べば特にワックスがけは必要ありませんが、無垢材だと定期的にワックスがけを行う必要があります。
畳に比べてメンテナンスを行わずに済むフローリングでも、無垢材を選択するとそれなりにメンテナンスが必要となってしまうので注意が必要です。
3.畳からフローリングに変えるリフォーム方法
畳からフローリングにリフォームする場合、施工方法は主に2種類から選択することになります。
・張り替え工法
張り替え工法は、すべての畳をはがしてからフローリングを張っていく施工方法です。
畳をはがしたら、必要に応じて下地の補修や断熱材・遮音材の補充などを行っていきます。
補修や補充が完了したらベニヤを張り、その上からフローリングを張っていくのが基本です。
張り替え工法なら下地を確認できるため、万が一シロアリの被害や腐食による傷みが見つかった場合でも、きちんと対策を講じてからフローリングを張ってもらえます。
施工していく中で段差も取り除いていけば、バリアフリー環境に整えることも可能です。
ただし、張り替え工法は後ほどご紹介する重ね張り工法に比べて工程が多く、施工費用が高くなる傾向にあります。
DIYでも張り替え工法は行えますが、きれいに仕上げるためには技術が必要ですので、張り替え工法でリフォームを検討している際には専門業者に依頼しましょう。
・重ね張り工法
重ね張り工法は、畳は剥がさずに上からフローリングを張り付けていく施工方法です。
フローリング材を畳の上に設置するだけなので、畳からフローリングに変えるDIYでもよく採用されている方法となります。
重ね張り工法は事前の掃除や家具の移動を踏まえたとしても、数時間程度で施工を終わらせられます。
なお、床が畳とフローリングの二重になるため、床の防音性も向上します。
ただし、重ね張り工法だと畳を残した状態で施工することになるため、張り替え工法ならできた下地の確認ができません。
万が一下地にシロアリやカビなどが発生している状態で重ね張りを行ってしまうと、どんどん被害が拡大していく可能性もあります。
また、畳の上からフローリング材を設置することになるため、敷居にはフローリングの厚さ分段差が生じてしまい、不便さだけでなく、見た目が悪くなってしまう可能性もあるでしょう。
4.リフォームの費用相場はどれくらい?
畳からフローリングに変えるリフォーム工事は、具体的にどれくらいの費用がかかってくるのか気になる方も多いでしょう。
リフォームの費用相場は場所によっても異なりますが、6~8畳程度で20~40万円が相場になります。
なお、張り替えと重ね張りでは張り替えの方が高額になり、無垢材と複合材では無垢材の方が高額です。
また、これはあくまでも畳からフローリングに張り替えるまでの施工であり、下地の補修や補充が必要な場合にはさらにコストがかかってしまいます。
少しでもコストを抑えたい方の中にはDIYを検討される方もいますが、DIYだと仕上がりが悪くなってしまい、最終的に業者に頼らざるを得なくなるケースもあることから、注意が必要です。
5.畳からフローリングにリフォームする際の注意点
畳からフローリングにリフォームする場合、以下のポイントに気を付ける必要があります。
・湿気対策を行う
畳もフローリングと同様、それほど水に強いわけではありませんが、その代わりに通気性が高いため、調湿効果が備わっています。
これまでは畳の調湿効果によって余分な湿気が吸われていましたが、フローリングに変えたことで調湿機能がなくなり、窓に結露が生じる可能性もあります。
また、湿気が多い部屋に無垢材を導入すると膨張によって寸法が変わる可能性もあることから、湿気が多い部屋をフローリングに変更したい時は無垢材ではなく複合材を選択し、畳の時よりもできるだけ換気を行うことを心がけましょう。
フローリングの種類を変更し、換気を行っていても湿気が気になる場合は、家全体で湿気対策を見直す必要があります。
・断熱材や遮音材の導入も検討する
フローリングは畳に比べて断熱性や遮音性が低く、リフォームで張り替えることで断熱性・遮音性の低下がみられるようになります。
畳と同じような環境を維持させたい場合は、遮音性の高いフローリング材を選んだり、床下に断熱材を入れたりすることが大切です。
もしマンションで畳からフローリングに変えるリフォームを行いたい場合、管理規約で定められている防音基準を確認しておきましょう。
マンションごとに規約で定めている防音基準は異なるものの、多くのマンションではLL40~45を求められることが多いです。
・ペットがいる場合は滑りにくい素材を選ぶ
犬や猫などのペットを飼っている場合、フローリングの材質によっては滑ってしまいペットの足腰に負担をかけてしまう恐れがあります。
足腰に負担がかかると最悪の場合脱臼や骨折のリスクが高まるため、フローリングは滑りにくい材質を選ぶのが大切です。
また、爪でひっかき傷ができる可能性もあることから、傷に強いフローリングを選んでおくのも良いでしょう。
・畳以外のリフォームも検討する
和室を洋室にリフォームする場合、畳だけをフローリングに張り替えたとしても天井や壁の雰囲気が和室のままでは内装に違和感を生じてしまいます。
そうならないためにも、和室を洋室にリフォームするなら畳以外の箇所もリフォームする必要があります。
ただし、畳以外もリフォームするとなるとその分費用もかかってしまうため、予算の範囲内でうまく収められないか、施工業者と相談してみましょう。
内装をすべてリフォームすることが難しい場合は、あえて和の要素を残した「和モダン」を取り入れてみても良いでしょう。
6.まとめ
今回は、畳からフローリングにリフォームした場合のメリット・デメリットや費用相場などを紹介してきました。
畳からフローリングに変えることで得られるメリットとしては、掃除の手間が軽減される、子ども部屋として活用できる、リビングとつなげて広い空間を作るれるといったことが挙げられます。
ただし、畳によるメリットが失われてしまうため、施工時に対策を講じておくことが重要となりますので、費用面なども考慮しつつ、畳からフローリングに変えるリフォームを検討してみましょう。
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