キッチンの色選びのポイント
小山 頼子
毎日使うキッチンも、色の選び方一つで印象がガラリと変わり、色がもたらす心理的な効果は私たちの生活にも大きな影響を与えています。
最近では各大手メーカーのキッチンのカラーバリエーションも増えてきています。
とは言え、ただ好きな色を選ぶだけでは良いキッチン空間を作ることはできません。
今回は自分のお家に合った居心地のよいキッチンを作るために、知っておきたい色選びのポイントについて紹介していきます。
■キッチンを構成する配色の基本要素
キッチンの色選びをする前に、カラーコーディネートを考える上で基本となる3つの大切な要素を押さえておきましょう。
●ベースカラー
床や壁、天井などに使う色のことです。空間全体の約70%と部屋の中で一番広い部分を占め、インテリアのベースとなります。天井・壁には白や明るいベージュ、アイボリーなどが使われることが多く、床は同系の茶色というパターンが最も一般的です。
●メインカラー
カーテンや大きな家具など比較的面積の大きいもの、キッチンの場合はキッチン本体やリビングダイニングの収納家具やソファなどに使う色です。空間の20~30%と比較的広い面積を占めるので、部屋に個性を持たせたり、空間を演出したりする際に役立ちます。
●アクセントカラー
クッションや雑貨など小物類の色を指します。空間全体に占める割合は約5%ほどですが、上記2つとは異なる色を使うことにより空間を引き締める役目を果たします。
■色のイメージ
キッチンの配色を考える上で重要なのはベースカラーとメインカラーのバランスです。特にオープンキッチンになっている場合は、リビングの家具やカーテンの色合いとの調和を考えると、上手く統一感を出すことができます。
ここからはキッチンのメインカラーを形成するキッチン本体の色ごとに、コーディネートの例をいくつか紹介します。
●ホワイト系
壁や天井とも調和しやすく空間全体をすっきりまとめることができるホワイト系は、いつの時代も人気のあるお色です。
クリナップ社の「ラクエラ」、トクラス社の「ベリー」などさまざまなメーカーのものが揃い、選択肢も豊富です。
また、ワンポイントでグリーンやレッドなどのアクセントカラーを取り入れることで、オシャレな空間を演出できます。
ホワイトは空間全体をすっきりとまとめあげる効果があります。それと同時に、部屋を広々と見せる効果もあるため、限られたスペースのキッチンの場合は、ホワイトで統一するのは非常によい選択です。
一方、他の色に比べて汚れが目立ちやすいため、白で統一するなら掃除をこまめにする必要があります。
●レッド系
赤は暖かみがあり、キッチンのイメージにもよく合います。
一方で、自己主張が強くて扱いの難しい色でもあります。
もし、狭いキッチンを赤でまとめると圧迫感が生まれ、落ち着かない空間になってしまうでしょう。
逆に、広すぎて寒々とした印象がある場合は、暖かみのある赤はワンポイントの配色として効果的です。
以上のことからインパクトを求めたい方には赤もよいでしょう。圧迫感が出やすい色ですが、濃度や質感を工夫することで、うまく空間に溶け込ませることができます。
●イエロー系
イエロー、オレンジ系は野菜や果実を連想させ、キッチンにとても相性の良い色です。
特に、黄色は人を楽しい気分にさせてくれる色として知られ、壁や床によく用いる暖色系ともなじみやすいので、コーディネイトしやすい色と言えるでしょう。
黄色の持つ明るく活発なイメージを生かすには、床や壁を薄めの明るい色にすると全体のバランスが取れます。
一方で、キッチンが黄色で壁や床が薄い暖色系では、まとまりすぎていて面白みに欠けると感じる場合があります。
その時には、床も黄色にし、濃淡でアクセントをつけると調和を崩さずにメリハリをつけられます。
黄色以外の色と組み合わせたい場合、相性がよいのは赤、グリーン、青などです。色面積を小さく抑え、アクセントカラーとして使用すれば、ちぐはぐな印象にならずにすむでしょう。
●グリーン系
イエロー系と同じく、野菜や果物を連想させるとともに、温かみあふれる緑色はリラックス効果抜群です。
またグリーン系は住む人の心を安定させ、ストレスを軽減してくれる効果もあります。
ダイニングに同じく緑色の観葉植物などを飾るとよりリラックス効果がアップするでしょう。
●ブルー系
青は冷たいイメージのある寒色系なのでキッチンの色としては使いどころが難しいとイメージする方も多い色と言われています。
しかし、色合いを上手く使うとクールで引き締まった印象を受け、爽やかさを演出できる色でもあります。
赤色などの暖色系は色が大きく見える効果があり、空間が狭く見えてしまうことに対して、ブルー系などの寒色系は色が引込んでいるように見えるため、部屋を広く見せることができるます。
また、夏場は涼しげで、何より清潔感があるため、人気のある色でもあります。
キッチンに青を使う場合は、床や壁もクールなイメージのホワイトやグレーを用いると無難にまとめられます。
●ブラック系
シックな黒は特に男性に人気のある色です。
黒いキッチンに壁や天井を白で対比させれば鮮やかコントラストが生まれ、モダンでクールなイメージを引き立ててくれます。また、モノトーンの空間では、どんな色を足しても調和を乱しにくいという特徴があります。
もし、どこか一部に赤や黄色など、お好みの色を加えてもちぐはぐな印象にはならず、アクセントカラーとして美しく引き立つのです。
一方、白と黒のコントラストは比較的容易な配色ですが、ブラック系のキッチンに対して床も濃い色にしようと思えば、その難易度は一気に高まります。
さらに、白や淡い色を基調とした空間に黒を採用してしまうと全体のバランスも崩れてしまい、暗い印象を与えてしまう場合がありますので注意しましょう。
●2色使いも可能
キッチン本体部分と上部の収納とで扉の色を変えることで、よりインパクトのあるキッチンを作ることもできます。
例えばキッチン本体の色はベースカラーと同じホワイト系にして、上部の収納に濃いオレンジやレッドなどを使えば、リビングダイニング全体のアクセントカラーになります。
また、逆にリビングからは上部の収納部分しか見えない場合、上部の収納をリビングにそろえたホワイトやベージュ系にしてキッチン本体にだけ好きな色を使えば、部屋全体の雰囲気を崩すことなく思い切った色使いが可能になります。
以上のように、キッチンの色にはさまざまな選択肢があります。
しかし、大切なのはメインとなる色を決めたなら類似色を中心に配色を考えていくことです。
全く異なる色を組み合わせようとすると調和が難しくなりますので注意しましょう。
■色選びの注意ポイント
ここまで、配色構成や色のイメージなどをお伝えしてきました。
では最終的にどんな所に注意すれば良いのか、色選びのポイントについていくつか紹介します。
●周囲との色合いに注意
まずキッチンの色を考えるとき、既存の床や壁など、そして周りのテーブルや椅子などとのカラをイメージすることが非常に大切です。
キッチンの色とソファーやデスクなどのインテリアとの色合いが異なると、部屋全体のバランスがおかしくなります。
また、簡単には張り替えできない床や壁の色との組み合わせも非常に重要なポイントです。
●照明や日差しの明るさに注意
キッチンを決める際は、高さや使い勝手をしっかりと把握するためにショールームに足を運ぶ実物を実際に見るのは非常に大事なことなのですが、色味に関しては注意が最も必要です。
ショールームに展示されている機器などには、その色が良く見える照明やコーディネートなど細かく実は工夫されています。
つまり、ご自宅の蛍光灯やLED照明や家具、床、壁などによっては合わない可能性が非常に高いので気を付けましょう。
日当たり状態が良くない場合などは濃い色のキッチンはどうしても暗く見えてしまます。
また光や照明が明るすぎると、光沢感のある材質などや真っ白い色のキッチンは非常に眩しくなる場合もあります。
■好きな色を中心に周りとのバランスを考えて決めましょう。
キッチンの色選びの失敗例でよくあるのは「自分の好きな色を選んだけれどほかの家具や壁紙と合わなかった」というパターンです。好きな色を基本にすることはもちろん大切ですが、それだけで決めてしまうとせっかくのリフォーム工事も納得いかない仕上がりになってしまいます。
キッチン周りの壁や天井、冷蔵庫などの電化製品、家具などの色との調和を考えながら、好きな色の類似色から選んでいくのが色選びのコツです。「これだ!」という一色を見つけて、オシャレで個性的な自分だけのキッチンを作ってみましょう。
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